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巣箱から見たCCD あとがき
ABOUT PESTICIDE

私たちに身近な昆虫・ミツバチは、每素排出(デトックス)機能をもたないようです。植物は虫にかじられると、虫がきらう成分を出して、その虫にとっておいしくなくなるのです。そうすると、虫は別の植物体に行ってしまうので、その植物体は、被害があまり出ないうちに、身を守ることができるのです。しかし、植物にとってミツバチは、役に立ってくれる昆虫です。受粉の手伝いをしてもらおうと、蜜を出して呼んでいるほどで、断わられる理由がありません。それで、ミツバチは植物からいやがらせの成分をたべさせられるという経験が、ほとんどありませんでした。そんなミツバチだから農薬に対する解每能力を獲得していないのです。だから被害を受けると、全滅したり、働き蜂の数が自然に反して減少し、群れ全体が弱くなって、病気になりやすいのです。(協力: Walter Haefeker・Coordinator of APIMONDIA Working group10/vice president of the European Professional Beekeepers Association)


このお話は、実際に農薬にかかった外勤蜂の被害のことを、巣箱の中にいてその影響を受けたミツバチの目線(視点)から、比ゆ的に書きました。
最近では、農薬を含んだ花粉を食べた幼虫が、発達途中で神経がやられてしまい、成虫にはなるものの、集蜜のために巣外に出かける頃に、狂った神経のせいで巣に帰れずに働き蜂の数が減少したり、汚染された花粉を食べる時期が晩秋だと、冬に働き蜂の数が不自然に減少することから、ミツバチのなぞの失踪が冬から早春にも起こることがわかってきました。

そうした汚染環境になっているので、ミツバチだけではなく、土を豊かにしてくれるミミズをはじめ、たくさんの生き物に深刻な影響を与えています。なんだか身の回りから、ふだんたくさん見られた生き物が、ここ数年で少なくなってきたような気がしたことはありませんか?有機リン系農薬に代わって、植物へ浸透性を持つネオニコチノイド系・フィプロニル・ピレスロイド・カーバメート系などの農薬が多用されるにつれて、ますます顕著になってきたようです。これらの農薬は、光にあたると分解されるので安全だとうたっています。しかし土中や植物体内にあっては一部が分解されず、作物中に入り食物として私たちの口にも入っていると言われています。微量であっても蓄積され
た結果どうなるのか、人体や神経(脳神経)に対する影響についての調査や研究が、充分に行われたことがまだありません。日本ではEUやアメリカと比較して、何十倍、何百倍も緩い基準で使用されているのが現状です。

作物の種をネオニコチノイド系農薬に浸してまく種子処理をすると、発芽したやわらかい葉や根を、たべてしまう虫を防げるそうです。ヨーロッパで種子処理をした作物の、葉っぱから滲み出る水滴から、高濃度の農薬が検出されたので、イタリアやフランスは種を浸すのをやめました。花が咲くまで残留し続けるものもあったそうです。こうした農薬の使用を、日本では逆に増やしていこうとする傾向まであります。また、未発達な脳を持つ胎児幼児への影響も、懸念されています。ネオニコチノイド系農薬は、他の農薬に比べて忌避効果が少なく、浸透性の農薬ですし、遅行性があるものもあり、目立ちにくい農薬です。昆虫の神経に作用して、無気力にしたり、繊細な能力を衰えさせたりします。ヒトが継続的にまたは急性に影響をこうむるとしたら、精神疾患や自殺の増加につながっていると、農薬が原因で体調をこわした患者をみてきた医師は、心配をしています。しかも何十年後に発病されても、夏にまいた農薬が原因で冬季にいなくなるミツバチのように、何が原因か特定できないかもしれません。農薬が原因で精神疾患になっては、本末転倒ではないでしょうか。「減農薬農法」で強い農薬を回数少なく撒くのではなく、真に農薬を減らす工夫や、有機農業の知識をいただき活かすことで、すこしでも自立していきたいですね。

すでにこの農薬は、私たちの身近に、使われています。ホームセンターの“薬品”のコーナーを見ますと、殺虫剤の他にも、ペットのノミ取り、建材の虫除けなど、使い道は広い範囲にわたります。大切なお子様お孫さまが遊ぶお庭には、ネオニコチノイドや有機リン系殺虫剤を控えたいですね。見えない住環境ではありますが、知識を持ってご家族を守りましょう。
「ミツバチにとって悪い環境は、ヒトにとってもなにも影響がないことはありえないでしょう」(黒田洋一郎博士:東京都医学研究機構、神経科学総合研究所 参事研究員 のお言葉)と、ミツバチはなぞの失踪を通して私たちに教えてくれています。

このお話はアメリカでつくられた「ニコチンビー」というドキュメンタリー映画をきっかけにできました。CCDの原因は2005年から大量に使われ始めたネオニコチノイド系農薬であるとアメリカで被害にあった養蜂家が消去法で説明しています。

アメリカのAmazon.comで入手できますので、英語に自信がある方は、ぜひこの映画もあわせてご覧くださることをお薦めいたします。


参考文献
書籍
■日本ミツバチ―在来種養蜂の実際 (新特産シリーズ) :藤原 誠太 (著), 村上 正 (著), 日本在来種みつばちの会 (編集) 農山漁村文化協会 (2000/04)
■だれでも飼える日本ミツバチ―現代式縦型巣箱でらくらく採蜜 : 藤原 誠太(著)農山漁村文化協会 (2010/06)
■ミツバチ―飼育・生産の実際と蜜源植物 (新特産シリーズ):角田 公次(著)農山漁村文化協会 (1997/03)
■庭で飼う、はじめてのみつばち ホビー養蜂入門 :和田 依子 (著), 中村 純 (著) 山と溪谷社 (2008/6/27)
■銀座ミツバチ物語―美味しい景観づくりのススメ:田中 淳夫(著) 時事通信出版局 (2009/03)
■ニホンミツバチ―北限のApis Cerana :佐々木 正己 (著)海游舎 (1999/01)
■養蜂の科学 (昆虫利用科学シリーズ):佐々木 正己 (著) サイエンスハウス (2001/04)
■ハチミツの百科 [新書]渡辺 孝 (著) 真珠書院; 新装版 (2003/01)
■ミツバチの世界 個を超えた驚きの行動を解く:Juergen Tautz (著), 丸野内 棣 (翻訳) 丸善 (2010/7/1)
■ハチはなぜ大量死したのか:ローワン・ジェイコブセン (著), 中里 京子 (翻訳) 文藝春秋 (2009/1/27)
■ハチはなぜ大量死したのか (文春文庫) :ローワン ジェイコブセン (著), Rowan Jacobsen (原著), 中里 京子 (翻訳), 福岡 伸一 文藝春秋 (2011/7/8)
■蜂からみた花の世界―四季の蜜源植物とミツバチからの贈り物:佐々木 正己著) 海游舎 (2010/07)
■昆虫の集まる花ハンドブック:田中 肇 (著) 文一総合出版 (2009/3/23)
■花と昆虫がつくる自然 (エコロジーガイド) :田中 肇 (著) 保育社 (1997/04)
■HONEY BIBLE―ハチミツ屋さんだけが知っていた!?単花ハチミツの使い分けが一目でわかる本:HONEY FARM (監修) マガジンランド (2006/04)
■蜜蜂の生活 :モーリス メーテルリンク (著), Maurice Maeterlinck (原著), 山下 知夫 (翻訳), 橋本 綱 (翻訳) 工作舎; 改訂版 (2000/11)
■ミツバチの科学:岡田 一次 (著) 玉川大学出版部 (1975/3/3)
■悪魔の新・農薬「ネオニコチノイド」―ミツバチが消えた「沈黙の夏」: 船瀬 俊介 (著)三五館 (2008/5/22)
■我が家にミツバチがやって来た―ゼロから始めるニホンミツバチ養蜂家への道 : 久志 冨士男 (著) 高文研 (2010/03)
■ニホンミツバチが日本の農業を救う:久志 冨士男 (著) : 高文研 (2009/05)
■ミツバチの不足と日本農業のこれから :吉田 忠晴 (著)飛鳥新社 (2009/12/15)
■近代養蜂:渡辺 寛 渡辺 孝 (共著)日本養蜂振興会
■緑の革命を脅かしたイネウンカ :寒川 一成 (著) ブイツーソリューション (2010/10/20)
■ハチミツと代替医療―医療現場での可能性を探る 松香 光夫(訳)、パメラ・マン、 リチャード・ジョーンズ(著)フレグランスジャーナル社(2002/10)
■はちみつ かがくのとも 藤原由美子 福音館(1997)
■Honey– A Gift from Nature Yumiko Fujiwara Kane/Miller Book Publishers, Inc.,
■ミツバチのたどったみち―進化の比較社会学 坂上 昭一 新思索社 (2005/7)
■ミツバチの文学誌:渡辺 孝 (著) (1997年)筑摩書房
■ミツバチと人間:渡辺 孝(著)(1974年)日本養蜂振興会
■自然の観察事典4ミツバチ観察事典 偕成社(1996/5)
■講談社カラー科学大図鑑ミツバチ 講談社(1980/3)

発表
■農薬と人体被害の実態(2010/3/7):青山美子(青山内科小児科)平久美子(東京女子医科大学東医療センター麻酔科)第38回日本有機農業研究会全国大会・総会記念講演
■CCD発生の実態調査と農薬との関連性―ネオニコチノイド系農薬の蜂群への影響―(2011/11/12) :山田敏郎、山田和子(金沢大学理工研究域システム学系)第20回日本臨床環境医学会学術集会/第59回日本産業衛生学会アレルギー・免疫毒性研究会
■ネオニコチノイド系殺虫剤のヒトへの影響(2011/11/12):平久美子(東京女子医科大学東医療センター麻酔科)第20回日本臨床環境医学会学術集会/第59回日本産業衛生学会アレルギー・免疫毒性研究会
■農薬ネオニコチノイドのヒト・哺乳類への影響(2011/11/12):木村―黒田純子(東京都医学総合研究所、脳発達・神経再生研究分野、神経再生研究室)第20回日本臨床環境医学会学術集会/第59回日本産業衛生学会アレルギー・免疫毒性研究会
■V.Gilolami(University of Padova, Italy):Translocation of Neonicotinoid Insecticides From Coated Seedling Guttation Drops; A Novel Way of Intoxication for Bees,2009
■Walter Haefeker (President European Beekeepers Association):Colony Losses in Germany: Report and Lessons Learned ,2009

DVD
■Nicotin Bee :Kevin Hansen
■ミツバチからのメッセージ :ミツバチを救え!DVD製作プロジェクト実行委員会
■Organic beekeeping 101 :Randy Sue Collins

テレビ
■ダーウインがきた!生きもの新伝説「ミツバチのお家騒動!」(NHK 2007/9/2)
■素敵な宇宙船地球号 (テレビ朝日2007/10/14)
Copyright © 2011 Junko Gotoh All Rights Reserved
by purehoney1 | 2011-12-30 15:11 | 蜜蜂・昆虫 | Trackback | Comments(0)
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